専務

性別:♂
年齢:2歳
好きな食べ物:ネズミ(しっぽのコリコリ感がたまらない)
:沖縄の防波堤で釣りをしながら昼寝。

ひとこと

生まれて5日目においてきぼりになった波瀾万丈な
猫生。広い背中に哀愁が漂う。


専務の詩

俺の耳がやぶれワンタンみたいにぎざぎざなのは
喧嘩に明け暮れた日々があったからさ。
こちとら、ここらじゃちょっとトラトラでね、
ただのトラじゃねえ、
一声ぬおーっと叫ぶと、
三番街のネズミの子どもたちが
震え上がったもんだ。

ぬおーっ、きゃー、ぬおーっ、
きゃー、ぬおーっ、きゃーっ
きゃっと、きゃっと、きゃっと!
キャットじゃねえよ。
ここらじゃちょっとトラトラでね、

挨拶もなしに縄張りに入りこんでくる奴は、
痛めつけてやるってわけさ。
右のパンチ! 左のパンチ!
キャット空中三回転!
だらだら飲んでんじゃねえよ。
世間がどうの、時代がどうのと
お前が愚痴を垂れ流して飲んでいる間に

右のパンチ! 左のパンチ!
キャット空中三万回転!
喧嘩の火花こそが俺の時計の秒針ってわけさ。
お前が飲んでいる
そのグラスのなかの酒のよどみってやつに、

俺のパンチから飛び散った
火花が舞い落ちる。


きゃっと、きゃっと、きゃっと、

キャットじゃねえよ、
ここらじゃちょっとトラトラでね、


痛いの、痛くないのって、
それが俺の生命の味わいってやつさ。


どけどな、へなちょこ。
人間様も猫様も、
素人は手を出しちゃいけないよ。
素人が殴り合えば、
傷になって残っちまうんだ。

しかも俺のやぶれワンタンみたいに、
修復不能な傷になる。


喧嘩をしてもいいのは、
喧嘩のなかに
花を咲かせられるキャットだけだ。

右のパンチ! 左のパンチ!
キャットかみつき左回り三回転!

右のジャブ三発、左のフック一発、
右ストレート、キャットかみつき右回り一回転!

まあ、そんなことをして
歌舞伎町のギャング猫と転げ回っていると、

ゴールデン街のバー「キョウコ」の
キョウコちゃんに
バケツで水をかけられる。

だーっと盛大にかけられる。

世界が一転する。
俺たちは水が苦手だ。
喧嘩なんてどうでもよくなる。

そして互いに見つめ合う。

なにやってたんだ、俺たち。

あー、そうか。
この新宿の裏通りの暗い影のなかに、
花を咲かせようとしていたんだ。


ふふふふふふ。
じゃあ、またな。キャット。

キャットじゃねえよ、
ここらじゃちょっとトラトラでね。

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