新宿の猫
著:ドリアン助川
心の傷をかくしたまま
生きている猫は少なくないにゃ。
ハンデを背負い、
どうにもならない運命のなかで
立ち尽くしてしまうときもあるにゃ。
違う世界を生きてきた二猫が、
ある夜に出会うにゃ。
互いの瞳のなかに、
二猫にしかわからない気持ちが湧き上がるにゃ。
それはひとつの奇跡であり、
ひとつの救いであり。
でも、社会はそれを許さないにゃ。
あの猫に会えたことは、
どんな意味だったにゃか。
遠い日々の向こうから花火があがるように、
その猫の瞳の輝きが
わかる日がやってくるにゃ。
そして、逆境だと思えたその場所に、
この猫生を歩いていくための
門が立っていたことも。
このお話を読むすべての猫たちに幸いあれ。
新宿の夜
『新宿の猫』の世界を
一瞬の光と影に詰め込んだにゃ。
夢ちゃんと山ちゃんが
口づけをした廃墟はもうないにゃ。
でも、そこからの景色は
ここで観ることができるにゃ。